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個人ばく露測定とは?2026年10月の対象場面と対応

著者・監修: 依田尚人YDAIコンサルティング株式会社 代表

個人ばく露測定とは?2026年10月の対象場面と対応

2026年10月1日から、対象となる場面で行う個人ばく露測定は作業環境測定として法律上位置づけられ、登録を受けた作業環境測定士等による実施が必要になります。これは、あらゆる事業場に新たな測定義務を設けるものではなく、定められた場面で測定を行うときの位置づけと実施者の要件を整理する改正です。

個人ばく露測定と個人サンプリング法は、身体に機器を装着する場合があっても、測る目的が異なります。対象場面、実施者、発注前に確認する情報を分けて見れば、社内で次に確認すべき事項を整理できます。

個人ばく露測定とは

労働者の襟元に装着した試料採取機器でばく露の程度を把握する測定の全体像
労働者の襟元に装着した試料採取機器でばく露の程度を把握する測定の全体像

個人ばく露測定は、作業環境における労働者の有害な因子へのばく露の程度を把握するために行う測定です。2026年10月1日から作業環境測定法第2条第3号に位置づけられます(作業環境測定法第2条第3号/確認日: 2026-09-05)。

測定目的測定単位対象場面実施者成果物
個人ばく露測定労働者のばく露の程度を把握する労働者ごとのばく露第三管理区分、溶接、リスクアセスメントなどの定められた場面対象場面では登録を受けた作業環境測定士等ばく露の程度の把握に用いる記録
個人サンプリング法単位作業場所の作業環境を評価する場の濃度作業環境の評価を行う場面指定作業場では作業環境測定法第3条の要件を確認管理区分の決定に用いる記録

労働者のばく露の程度を把握する測定

個人ばく露測定では、作業環境そのものの管理区分を決めることではなく、作業に従事する労働者がどの程度ばく露しているかを把握します。呼吸用保護具の選定や、リスクアセスメントでばく露の程度を確認する場面と関係する測定です(作業環境測定法第2条第3号、基発0730第2号/確認日: 2026-09-05)。

一方、個人サンプリング法は、労働者の身体に試料採取機器を装着しても、単位作業場所の作業環境を評価し、管理区分を決めるための方法です。装着する機器だけで両者を同じ測定と判断せず、目的と成果の使い方を確認します(作業環境測定法施行規則第3条第1項第1号イ/確認日: 2026-09-05)。

測定の名称を社内の依頼書や記録で使うときも、目的を添えておくと混同を減らせます。例えば、場の評価のためか、労働者のばく露の程度を把握するためかを先に区別すれば、必要な確認先や成果の読み方を整理しやすくなります。

2026年10月の法的位置づけ

2026年10月1日施行の改正では、労働安全衛生法第65条の3が新設され、定められた測定が作業環境測定として位置づけられます。同法第65条の3第4項により、該当する測定は作業環境測定基準に従って行います(労働安全衛生法第65条の3、令和8年厚生労働省令第116号/確認日: 2026-09-05)。

整備省令である令和8年厚生労働省令第116号は2026年7月29日に公布されました。本記事で扱う個人ばく露測定に関する規定は2026年10月1日施行であり、同省令には2026年8月1日または9月1日に施行される一部の規定もあります(令和8年厚生労働省令第116号、基発0730第2号/確認日: 2026-09-05)。

改正の対象は限定されているため、業種名だけで該当を決めず、作業場と測定の目的を照らして確認することが大切です。施行日だけを確認するのではなく、どの規定に関係する測定かを確認します。

労働安全衛生法第65条の3は、第1項の限定された測定、第2項の改善措置の効果確認、第3項のリスクアセスメントに当たって必要に応じて行う測定を分けて規定しています。どの項に対応するかによって、測定の契機と扱いが異なるため、測定名だけで一律に扱わないことが必要です(労働安全衛生法第65条の3、基発0730第2号/確認日: 2026-09-05)。

対象となる場面をどう確認するか

第三管理区分の作業場と局所排気装置を点検しながら対象場面を確認する流れ
第三管理区分の作業場と局所排気装置を点検しながら対象場面を確認する流れ

対象となる場面は、改善が難しい第三管理区分の作業場、金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場、リスクアセスメントに当たって個人ばく露測定を行う場合などです。作業の名称だけでなく、既存の評価結果、改善措置、作業方法を並べて確認します(労働安全衛生規則第42条の5・第42条の6、基発0730第2号/確認日: 2026-09-05)。

改善が難しい第三管理区分の作業場

第三管理区分の場所で改善措置を講じても第一または第二管理区分にならない場合、外部の作業環境管理専門家の意見を踏まえ、身体に装着する試料採取機器を用いた測定を行う場面があります。2026年10月1日以降、その場面の測定は労働安全衛生法第65条の3第1項と労働安全衛生規則第42条の5に関係します(労働安全衛生規則第42条の5/確認日: 2026-09-05)。

第4項の措置後に行う6月以内ごとの定期測定にも、身体装着機器を用いる場合の規定があります。第三管理区分となった経緯、改善と再評価の状況、現在の保護具措置を時系列で整理してから対象を確かめます(有機則第28条の3の2第4項・第5項ほか、基発0730第2号/確認日: 2026-09-05)。

確認の起点は、第三管理区分という結果だけではありません。専門家の意見聴取、改善の可否、再評価の結果、身体装着機器を用いるかを順にたどり、実際に行う測定が規定に結び付くかを確認します。

金属アーク溶接等とリスクアセスメントの場面

金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場では、溶接ヒューム濃度測定が対象となる場面があります。また、リスクアセスメントに当たって必要に応じて個人ばく露測定を行う場合は、労働安全衛生法第65条の3第3項に対応します(特定化学物質障害予防規則第38条の21、労働安全衛生法第65条の3/確認日: 2026-09-05)。

労働安全衛生規則第42条の6は、作業環境の改善措置の効果を確認するための測定を定める規定です。個人ばく露測定の対象場面と、改善措置の効果確認という目的を混ぜず、どの規定に沿う測定かを確認します(労働安全衛生規則第42条の6/確認日: 2026-09-05)。

リスクアセスメントに関係する測定は、必要に応じて行うものとされており、労働安全衛生法第65条の3第3項は同法第119条第1号に列挙されていません。第1項の限定された測定と同じ扱いとして罰則を説明せず、制度上の位置づけを分けて読む必要があります(労働安全衛生法第65条の3・第119条第1号/確認日: 2026-09-05)。

実施前に確認する実施者要件

試料採取ポンプとガスクロマトグラフを使いデザイン・サンプリングと分析の役割を分けて確認する図
試料採取ポンプとガスクロマトグラフを使いデザイン・サンプリングと分析の役割を分けて確認する図

依頼前には、測定のデザイン・サンプリングを担う者と、分析を担う者の役割を分けて確認します。測定の目的、対象作業場、対象となる物質、既存記録を先に整理すると、登録・資格の確認事項を伝えやすくなります。

デザイン・サンプリングと分析の役割

個人ばく露測定に係るデザイン及びサンプリングは、作業環境測定法第7条の登録を受けた作業環境測定士等が担います。分析は、当該作業場の種類について登録を受けた第一種作業環境測定士等が担う仕組みです(作業環境測定法第7条、令和8年厚生労働省令第116号/確認日: 2026-09-05)。

サンプリング補助者講習を修了した者や一級化学分析技能士が補助する制度も定められています。発注時は、測定全体を誰が担うかではなく、デザイン・サンプリング、分析、補助の区分ごとに登録・資格と対応範囲を確認します(作業環境測定法施行規則第3条の4・第3条の5・第5条の2の2、基発0730第2号/確認日: 2026-09-05)。

依頼内容を伝える際は、作業工程、扱う物質、作業場の位置、作業者の動き、既存の測定・評価結果を整理します。測定の計画を立てる前に事実関係をそろえることで、実施者に求める役割と成果物の範囲を確認しやすくなります。

よくある質問

作業者の襟元の試料採取機器とデジタル粉じん計を並べて二つの測定目的を見分ける質問と回答の図
作業者の襟元の試料採取機器とデジタル粉じん計を並べて二つの測定目的を見分ける質問と回答の図

個人サンプリング法と同じ測定ですか

個人サンプリング法は場の濃度を評価する方法で、個人ばく露測定は労働者のばく露の程度を把握する測定です。身体に装着する機器を使うことがあっても、目的と評価の単位が異なります(作業環境測定法施行規則第3条第1項第1号イ、作業環境測定法第2条第3号/確認日: 2026-09-05)。

個人サンプリング法の結果は単位作業場所の管理区分の決定に用い、個人ばく露測定は労働者のばく露の程度の把握に用います。依頼書や記録では、測定の名称と目的を一緒に記載しておくと、同じ機器を使う場面でも区別しやすくなります。

いつから確認を始めればよいですか

2026年10月1日の施行前に、対象工程、作業場、既存の測定・評価結果、作業方法の変更予定を整理します。対象となる場面で行う測定の位置づけと実施者要件は、令和8年厚生労働省令第116号で定められています(令和8年厚生労働省令第116号/確認日: 2026-09-05)。

準備の際は、測定の目的と、第三管理区分、金属アーク溶接等、リスクアセスメントのどの場面に関係するかを分けます。確認した日と根拠を残し、工程や作業方法が変わる場合はその都度見直します。

個別の作業場が対象か判断できますか

個別の該当判定は、工程、物質、作業場、既存の測定結果を所管窓口または専門家へ確認してください。この記事では、対象場面を整理するための一般的な確認項目を示しています。

判断前には、いつの結果を見ているか、作業方法に変更があったか、現在も同じ作業場で作業しているかを確認します。記録の一部だけを切り出すのではなく、測定の目的と作業場の状況を一組として確認することが、制度の取り違えを防ぐ出発点になります。

個別の解釈や実施方法をこの記事だけで確定せず、所管窓口または専門家に確認してください。判断に用いた工程と記録をそろえた上で確認します。

まとめ

溶接トーチと防じんマスクを備えた作業場で対象場面と実施者要件を最後に確認するまとめの図
溶接トーチと防じんマスクを備えた作業場で対象場面と実施者要件を最後に確認するまとめの図

個人ばく露測定は、労働者のばく露の程度を把握する測定であり、個人サンプリング法とは目的が異なります。2026年10月1日からの位置づけは、改善が難しい第三管理区分、金属アーク溶接等、リスクアセスメントの場面などに関係します(労働安全衛生法第65条の3、基発0730第2号/確認日: 2026-09-05)。

社内では、作業場の状況と測定目的を先に分け、デザイン・サンプリングと分析の実施者要件を確認します。対象となる作業場と測定の目的を対応させて整理します。

確認する順番は、対象場面、測定目的、実施者要件の順が目安です。これらを分けておけば、身体に機器を装着する測定を行うという共通点だけで、異なる制度や測定方法を取り違えることを避けられます。

記録を確認する日も残し、改正の施行時点と作業場の現状を照らして見直します。変更の内容も記録と照らして確認します。

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著者・監修

依田尚人YDAIコンサルティング株式会社 代表

依田尚人は YDAIコンサルティング株式会社 代表。作業環境測定・特殊健診の義務の対象と方式別の費用実勢について、e-Gov・厚生労働省・都道府県労働局の登録簿等の公開情報を一次ソースまで確認する工程を標準として、本サイトの記事を設計・監修しています。

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