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個人サンプリング法とは?A・B・C・D測定との違い

著者・監修: 依田尚人(YDAIコンサルティング株式会社 代表)

個人サンプリング法とは?A・B・C・D測定との違い

個人サンプリング法は、労働者に機器を装着して場の濃度を評価する方法であり、労働者のばく露の程度を把握する個人ばく露測定とは目的が異なります。依頼前に、測定の目的と評価単位を切り分けることが大切です。

身体に試料採取機器を装着する点だけを見ると、二つの測定は似て見えます。しかし、個人サンプリング法は単位作業場所の作業環境を評価する方法であり、個人ばく露測定は労働者ごとのばく露の程度を把握する測定です。依頼や結果の確認では、目的と評価単位を先に分けます。

個人サンプリング法の目的

個人サンプリング法は、作業環境測定法施行規則第3条第1項第1号イに規定される、場の濃度を測るための方法です。作業者に機器を装着しても、把握する対象は単位作業場所の作業環境であり、個人のばく露の程度そのものを判定する測定とは読み替えません。

場の濃度を評価する方法

作業者の襟元に装着した試料採取機器、捕集管、単位作業場所を描き、場の濃度を評価する個人サンプリング法の図
作業者の襟元に装着した試料採取機器、捕集管、単位作業場所を描き、場の濃度を評価する個人サンプリング法の図

個人サンプリング法では、労働者の身体に試料採取機器を装着して採取した試料を用い、単位作業場所の作業環境を評価します。評価の目的は、場の濃度を踏まえて管理区分を決定することであり、個人ばく露測定と同じ名称の別表現ではありません(作業環境測定法(昭和50年法律第28号) 第2条第3号、作業環境測定法施行規則第3条第1項第1号イ/2026-10-01施行時点版/確認日: 2026-09-05)。

作業場の評価では、誰がどの工程に従事するか、どの場所で採取するか、作業がどの時間帯に行われるかを確認します。装着する機器の有無だけで測定目的を決めず、依頼書や結果報告書に、単位作業場所の評価を目的とすることを明記して確認します。

身体に装着する機器を使う理由

作業者の呼吸域近くに装着したサンプリングポンプ、活性炭管、局所排気装置のフードとダクトを描く図
作業者の呼吸域近くに装着したサンプリングポンプ、活性炭管、局所排気装置のフードとダクトを描く図

個人サンプリング法は、作業者の行動に沿って試料を採取できるため、作業中の場の状態を評価するための情報を得る方法です。ただし、機器を身体に装着することと、労働者のばく露の程度を把握する個人ばく露測定であることは、同じ意味ではありません(作業環境測定法(昭和50年法律第28号) 第2条第3号、作業環境測定法施行規則第3条第1項第1号イ/2026-10-01施行時点版/確認日: 2026-09-05)。

測定前には、工程、使用物質、作業場所、局所排気装置などの設備、既存の測定記録を整理します。こうした情報をそろえると、採取の対象が単位作業場所の評価なのか、個人ばく露の程度の把握なのかを、依頼先と同じ前提で確認できます。

記録には、装着した人の氏名だけを残すのではなく、その人が従事した工程、採取時の作業状況、評価する単位作業場所を対応付けます。身体装着機器を使う理由を説明するときも、装着した個人の健康状態を評価するためではなく、場の作業環境を評価するための情報を得る方法であることを共有します。

A・B・C・D測定をどう読むか

A・B・C・D測定という呼び方は、測定方法の整理に使われます。名称を覚えることよりも、従来法と個人サンプリング法が、どちらも場の濃度を評価するための方法である点を確認することが重要です。

従来法のA・B測定

作業場の複数地点でデジタル粉じん計を使うA測定と、発散源近くを確認するB測定を描いた図
作業場の複数地点でデジタル粉じん計を使うA測定と、発散源近くを確認するB測定を描いた図

従来法のA・B測定は、単位作業場所の作業環境を評価するための測定方法として整理されます。A・Bという記号だけで結果の良し悪しや個人のばく露を表すものではなく、作業環境の評価に必要な情報を得るための区分として確認します(作業環境測定法施行規則第3条第1項第1号イ/確認日: 2026-09-05)。

測定結果を受け取る側は、どの作業場所を対象としたか、どの作業条件で採取したか、評価記録が添付されているかを確認します。個別の測定点や方法の選択は、対象作業場と作業環境測定基準に照らして確認し、記事だけで決めません。

A・B測定という記号を報告書で見たときは、記号だけで結論を急がず、対象となった単位作業場所と評価の記載を確認します。作業者が複数いる工程でも、測定の目的が作業環境評価なのか、ばく露の程度の把握なのかを見出しや成果物で確かめることで、結果の用途を取り違えにくくなります。

個人サンプリング法のC・D測定

作業者の襟元の試料採取ポンプと捕集管、単位作業場所、作業環境測定結果報告書を使うC・D測定の図
作業者の襟元の試料採取ポンプと捕集管、単位作業場所、作業環境測定結果報告書を使うC・D測定の図

個人サンプリング法のC・D測定も、単位作業場所の作業環境を評価する目的で確認します。作業者に機器を装着する方法であっても、評価単位を場から個人へ変えるものではないため、結果を個人ばく露測定の結果として扱いません(作業環境測定法施行規則第3条第1項第1号イ、作業環境測定法(昭和50年法律第28号) 第2条第3号/2026-10-01施行時点版/確認日: 2026-09-05)。

指定作業場で作業環境測定を行う場合は、作業環境測定士に実施させるか、作業環境測定機関に委託する規定があります。方式を先に選ぶのではなく、対象作業場、測定の目的、作業環境測定基準、実施者の登録・対応範囲を順に確認します(作業環境測定法(昭和50年法律第28号) 第3条/確認日: 2026-09-05)。

C・D測定についても、依頼前に「個人のばく露を測る」という表現だけを使うと、目的の取り違えにつながります。依頼内容には、単位作業場所の作業環境評価であること、対象工程、結果として確認したい評価記録を記載します。必要な資格や登録の確認は、測定の種類と対象作業場を確定してから行います。

個人ばく露測定と分けて確認する

個人ばく露測定は、作業環境における労働者の有害な因子へのばく露の程度を把握するために行う測定です。2026-10-01から作業環境測定法第2条第3号に位置づけられますが、個人サンプリング法と同義になるわけではありません。

目的・評価単位・成果物の違い

場の濃度を示す単位作業場所と、呼吸域に装着した試料採取機器を使う個人ばく露測定を左右に分けた比較図
場の濃度を示す単位作業場所と、呼吸域に装着した試料採取機器を使う個人ばく露測定を左右に分けた比較図

個人サンプリング法は、場の濃度を評価し、単位作業場所の作業環境評価と管理区分の判断に用います。個人ばく露測定は、労働者のばく露の程度を把握し、呼吸用保護具の選定やリスクアセスメントの判断に用います(作業環境測定法(昭和50年法律第28号) 第2条第3号、労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律の一部の施行等について(基発0730第2号)/公布: 2026-07-29、施行: 2026-10-01、確認日: 2026-09-05)。

比較する項目個人サンプリング法個人ばく露測定
目的単位作業場所の作業環境を評価する労働者のばく露の程度を把握する
評価単位場の濃度労働者のばく露の程度
主な確認先作業環境評価と管理区分呼吸用保護具の選定とリスクアセスメント
2026-10-01以降作業環境測定の方法の一つ限られた場面で作業環境測定として位置づけ

2026-10-01の改正は、対象外の場面まで同じ測定を新たに課すものではありません。改善が困難な第三管理区分、金属アーク溶接等作業、リスクアセスメントに当たって個人ばく露測定を行う場面など、限られた場面で行う測定の位置づけと実施者要件を定めたものです(労働安全衛生法(昭和47年法律第57号) 第65条の3、労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令(令和8年厚生労働省令第116号)/公布: 2026-07-29、施行: 2026-10-01、確認日: 2026-09-05)。

比較表を社内で使う場合は、方式、目的、評価単位、対象作業場、実施者、受領する記録を別の列にします。身体装着機器の有無を一つの列にしても、目的と評価単位が異なれば同じ測定にはなりません。測定後の評価や改善の担当も、方式ごとに分けて記録すると、結果の使い道を確認しやすくなります。

個人ばく露測定の対象場面は、個人ばく露測定の基礎記事で確認できます。指定作業場と実施者要件については、作業環境測定の義務の記事を参照し、個別の方式選定は測定機関等へ確認してください。

法定義務を、測定をしていない時点で直ちに処罰されるものとして扱うことは適切ではありません。労働基準監督官の臨検監督などで違反が確認された場合は、是正勧告や指導が行われ、改善されない場合などに司法処分へ進む段階があります。なお、罰則の対象になる条は施行日によって変わります。2026年10月1日以降は、労働安全衛生法第65条の3のうち第1項の測定が同法第119条第1号に列挙されており、第2項・第3項は列挙されていません(労働安全衛生法(昭和47年法律第57号) 第65条の3第1項・第119条第1号/2026-10-01施行時点版/確認日: 2026-09-12)。

よくある質問

個人サンプリング法と個人ばく露測定は、装着する機器の見た目でなく、目的と評価単位で分けます。対象作業場や方式の選定は、工程、物質、既存記録を整理したうえで確認してください。

個人サンプリング法は個人ばく露測定ですか

個人サンプリング法は、単位作業場所の作業環境を評価するための方法で、個人ばく露測定とは目的が異なります。労働者に試料採取機器を装着する点だけで、両者を同じ測定として扱いません(作業環境測定法施行規則第3条第1項第1号イ、作業環境測定法(昭和50年法律第28号) 第2条第3号/2026-10-01施行時点版/確認日: 2026-09-05)。

C・D測定は誰が実施しますか

指定作業場の作業環境測定は、作業環境測定士に実施させるか、作業環境測定機関に委託する規定があります。対象工程に対応する登録・資格の区分と、依頼する測定の目的を確認します(作業環境測定法(昭和50年法律第28号) 第3条、作業環境測定法施行令(昭和50年政令第244号) 第1条/確認日: 2026-09-05)。

方式は事業者が選べますか

対象作業場、測定の目的、作業環境測定基準に照らして確認が必要です。場の評価か、労働者のばく露の程度の把握かを先に整理し、個別の方式選定は測定機関等へ確認してください(作業環境測定法(昭和50年法律第28号) 第3条/確認日: 2026-09-05)。

まとめ

個人サンプリング法は、労働者に機器を装着して場の濃度を評価する作業環境測定の方法です。個人ばく露測定は、労働者のばく露の程度を把握する測定であり、目的と評価単位が異なります。A・B・C・D測定の呼び方だけで混同せず、対象作業場、測定の目的、実施者要件を順に確認してください。

出典

著者・監修

依田尚人YDAIコンサルティング株式会社 代表

依田尚人は YDAIコンサルティング株式会社 代表。作業環境測定・特殊健診の義務の対象と方式別の費用実勢について、e-Gov・厚生労働省・都道府県労働局の登録簿等の公開情報を一次ソースまで確認する工程を標準として、本サイトの記事を設計・監修しています。

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